星降る夜の俺たちの約束

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「もし、また会えたらマヒロをシュウ君の彼女にしてくれますか?」 一年で一番流れ星が流れる日、 俺たちは、地元にある展望台で約束をした。 約束をした翌日、マヒロは病気の手術の為、 海外へ旅立った。 「マヒロが海外行っちゃって寂しい?」 学校への通学路でクラスメイトに話しかけられた。 「さ、寂しくなんかねーよ!」 「強がっちゃって」 嘘だ。本当は寂しいに決まってる。 マヒロは幼馴染で、小中高と一緒で、 俺の隣にはいつもマヒロが居た。 いつも一緒だったマヒロが居なくなってから、 俺の心は、常に穴が開いたみたいな状態だった。 それから一年が経ち、 今日は一年で一番流れ星が流れる日。 俺は一人展望台に来て居た。 本当は今年も一緒に星を見たかった。 そして俺は我慢できずに、叫んだ。 「早く帰って来いよバーカッ!!」 静まりかえった中、 俺の声が響き渡る。 「ただいま」 声の主が俺の背中へと抱きつく。 振り返らなくても、解る。マヒロの声だ。 「ただいま。シュウ君」 「遅えーよ!マヒロ」 俺は振り返り、マヒロを抱きしめる。 そこには前と変わらずニコニコ笑うマヒロが居た。 「ねぇ、覚えてる?一年前の事」 もちろん覚えてるに決まってる。 「マヒロをシュウ君の彼女にしてくれますか?」 「待たせすぎだバーカッ!!」 俺はマヒロにキスをした。 この瞬間を俺はどれだけ待ちわびた事だろう。 幸せを噛みしめるように、何度も。何度も。 そして5年後、 俺たちは毎年のようにこの展望台に来ている。 今度は俺の番だ。 「マヒロ。大切にするので俺と結婚してくれますか?」 「はいっ!」 星たちが祝福してくれているかの様に、 優しい光で俺たちを照らしていた。
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