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『異世界少女は祈らない』
エブリスタに小説を投稿したものの、フォロワー十人以下という状況が長く続いた。
ただ予想外のことがあった。
投稿を始めたばかりの頃だった。
偶然にも『クズ告』の清水苺先生がフォロワーになってくださった。
エブリスタで『クズ告』の作者にお会いするとは思ってもいなかったので、相当驚いた。
僕が投稿するより早くエブリスタで連載しておられた。
れっきとしたプロの人気作家なので、エブリスタの特集かなにかだったのだろうか?
それが異世界物『異世界少女は祈らない』だった。
僕が送った『クズ告』の感想とラノベへの決意を語った手紙を覚えていて下さったのである。
そのおりにラノベについて詳しくご説明頂き大変参考になった。
清水先生にとって僕は、たくさんフォローしたエブの投稿者のひとりに過ぎなかったと思う。
それでも率直に感激したし、これを契機に清水先生よりラノベについて色々と学ばせて頂くことができた。
今でも深く感謝している。
エブリスタを拠点にラノベで入賞しよう。
ぜひラノベ作家として尊敬する清水先生にご報告しようと決意を新たにした。
この小説については当時、レビューを書いている。
たぶんエブリスタで、一番最初に書いたレビューだったと思う。
概ね次のような内容。
<異世界物が食わず嫌いだった自分が最初に読んだ異世界物。
主人公のカケルは、闇金で破綻した父親の無理心中で殺されるが、レーナという美少女によって甦り、ファスル帝国という異世界でレーナの奴隷として生きることになる。その代償として得たのがすさまじい戦闘能力。レーナと共に帝国を牛耳るメイデンという巨体な組織と戦うことになる。
組織の中心メンバーのリアスはレーナの双子の妹。
生前、カケルの心の慰めだった同級生のくるるは、実はリアスの片腕だった。
なんでこの異世界ファンタジーに入り込めたかといえば、救いのない現実感漂うダークな設定。
主人公と心の通わないヒロインの存在に始まり、父親のリストラで破滅する主人公の家族。レーナとリアスの母親とのつかのまの交流があっさり終わりを迎えるシーン。
レーナがカケルを慰めるためにつくりだした「幸せなカケルの家庭」という胸の悪くなる仮想世界の存在・・・。
不快でイヤーな気持ちになるメイデンの指導者の言葉づかい。
よくも悪くもガラスをひっかいた音を聞くような背筋の寒さが全篇漂い、適度なお色気も加わり、ものすごく不健康だけど、とにかく面白い。離れられない>
『クズ告』でも感じたが、ラノベを超えた作品世界~憎悪、殺伐、偽善、嘲笑など人間のダークな世界に迫った部分に僕は魅かれたのだと思う。
ラノベだからではなく、小説として自分の心をとらえて離さなかったのだろう。
この感想はいまでも変わらない。
最近、エブリスタで異世界ファンタジー物をいくつか執筆したが、『異世界少女は祈らない』の世界を意識しながら執筆している。
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