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「そーいや今夜って話だよね。例の“ホロボシ”が現れんの」
「テレビもネットも最近ずっとその話題ばっかだよねー。マジでそんなの出るの?」
「実際に見たって人いないしね。百年前だから映像も残ってないしウソ臭いよねー」
談笑しながら学校からの帰路を歩く三人の女子中学生。
「どうする? ウチらもお願いしてみる?」
「マジカンベン。クイズを間違えたら“星”にされちゃうんでしょ? 確か今までで百億人は星にされたって話じゃん」
「キャハハ、百億は盛り過ぎっしょ。そんなに命知らずなバカいるわけ無いじゃん」
「だよねー。挑戦するような奴は自殺志願者ぐらいでしょ。例えば」
一人がちらりと後ろを向く。そこに立っていたのは、同じ制服を着て、四人分の鞄を持った、どこか顔色の優れない女子中学生。
「シホリ。あんたやってみたら?」
突然の指名にシホリは足を止めた。
「どうせクソみたいな人生送ってるあんたのことだから日頃死にたいって思ってんでしょ? だったら丁度いいじゃん」
「そーそー! うまくいけば億万長者になれるかもしれないし。一発逆転狙ってみればぁ?」
無表情無反応のシホリに一人が顔を近づける。
「……ま、あんたにそんな度胸あるわけないか。ウチらとしてもあんたにいなくなられちゃ困るし」
「それな。シホリはウチらの大事なしんゆーだもんね!」
「キャハハ! しんゆーを裏切って抜け駆けしないでよ!」
三人はシホリに預けていた鞄を回収し、捨て台詞を吐いて去っていく。そんな彼女達を見送ると、
「……度胸が無いのはあなた達の方。私は、あなた達とは違う」
そう呟き、シホリも自分の向かうべき場所へと歩き出した。
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