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『ホロボシって、知ってるよね?』 『……はい。百年に一度現れる巨大な星』 『そっ。ホロボシの出す問題に正解すれば何でも願いが叶うと言われている。ただし間違えたり答えられなかった者は容赦なく星にされる。まるでエジプト神話に出てくるスフィンクスみたいだよね。ひょっとしてパクったのかな?』  冗談を混じえ笑う五輝とは対照的に真顔のシホリ。 『そのホロボシが現れるのが来年なんだ。だから僕は来年まで延命することにしたのさ』  いつの間にか、飛び降りるのも忘れ五輝の話に引き込まれていた。 『一説には神の使いだとか言われてるが、あんなものは世界の秩序を乱し人類を破滅に追い込む悪魔の星だ。だから僕らの願いはひとつ。“ホロボシをこの世界から消す”。奴に二度と現れるなとお願いするのさ』 『僕ら?』  五輝は大きく頷いた。 『ホロボシを一人で攻略するのはほぼ不可能。逆に言えば、人類が一致団結すれば絶対に退けることができるんだ。そのためには沢山の仲間がいる』  五輝の顔も真剣なそれに変わり、徐にシホリに手を差し伸ばした。 『今、この場で散るはずだったその命、僕らに預けてみないかい?』  思わず息を飲むシホリ。 『キミが必要なんだ。僕と一緒に、この世界を変えよう』  こうしてシホリは、五輝の手を取り五輝の所属する団体、“打射星(だいせい)会”に入会するのだった。  打射星会はホロボシに挑戦する者に対して衣食住の生活面を全て補償してくれた。そこまでできるのは密かに裏で政府が絡んでいるため。つまり国をあげてホロボシに挑むのだ。  だが、ホロボシに挑む事は国民に特攻隊になれと言っているようなもの。そんな団体を支援しているなどさすがに公にできるわけがなかった。
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