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「予習はバッチリだよね?」 「はい。ここにある星座に関する本は全て読破しました」  過去、十度に渡るホロボシの出題傾向は皆同じである。それはホロボシが提示した星座の名を答えるというもの。  一般的に知られている星座は星占いで使われる十二星座や、国際天文学連合が定めた88個の星座だが、ホロボシが出題する星座は全くのオリジナル。まさに想像力と発想力が試される難問である。 「とは言え、星座なんて見る人によって違うし、ただのこじつけだから当てるなんてほぼ不可能なんだけどね。過去の問題で言えば“そろばん座”とか“振り子時計座”とか“カモノハシ座”とか。こうなるともはや運ゲーに近いね」 「でも、外し続けてもそれだけ正解が絞られます」 「そう。重要なのは先に出た回答を覚える事。誰かが外した答えを言って星にされるのだけは絶対に避けたい。それこそ無駄死にだ」  死という言葉に反応してか、シホリの表情が曇る。 「……本当に、今回で終わるのでしょうか」 「終わるとも。何たって今回は百年前にはなかったインターネットがある。情報を共用し、世界中の人間と繋がり心をひとつにすれば絶対にホロボシに打ち勝てるさ」 「でも、今まで正解した人はいても、誰も現状を変えようとする人はいなかった。文献によれば叶えられた願いはどれも私利私欲を満たすものばかりだと……」 「確かに仲間もおらず単独で挑戦した者は私利私欲に走るだろう。しかしそんなのは一握りしかいないし、正解を出す確率も圧倒的に低い。その点僕らには仲間がいるからその分有利だ。例えみんなを裏切って個人的な願いを叶えても後で重い罰を受けるだろう。だから何も心配いらないよ」 「ちなみに、五輝さんの番号は」 「152番。シホリ君より少しだけ早いね」  五輝は話を区切ると、袖口をずらし腕時計に目をやった。 「そろそろ時間だ。みんなの元へ行こう」
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