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 商店街を抜けて探偵事務所のドアを開けたのは午後八時を少し回った頃だった。昼間来た時は薄暗かった部屋はどういうわけか明るくなっていた。 「遅かったね。今日は泊まっていくかい?」  駒沢さんはいつも通りだった。わたしが何をしてきてどんな気持ちになったかを知っていて、それでも冗談を絶やさない。わたしは苦笑いを浮かべる。 「セクハラはやめてください。訴えますよ」  わたしはため息を漏らしてから、気になっていたことを聞いた。 「どうしてわたしをアルバイトにしたんですか」  駒沢さんはいつものように下心が混じった笑みを浮かべた。 「好きな子と一緒にいたいのに理由なんてないさ」  ああ、そうか。  わたしが竹本先輩を庇った理由、わたしが竹本先輩に伝えたかった言葉、それがわかったような気がした。
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