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自宅に帰ってぐったりとした白い猫を見つめながら、僕は白い猫の頭を優しく撫でていた。
千夜さんは僕を突き飛ばして、自分が犠牲になってしまったようだ。
僕はやるせない気持ちでいっぱいで、ただアパートの部屋で呆然としていた。
今日居酒屋で千夜さんと食事をしているときに千夜さんが、
「悠宇さんは私の命の恩人なんだよね!」
といった言葉に思い当たる節があった。
僕が新宿ゴールデン街でやせ細った白い猫を見つけた時、僕は飲み物や餌を与えたことがあった。
この猫は、きっとその時の猫に違いないと感じていた。
千夜さんとの楽しい日々を思い出すと、いったんは落ち着いていた涙がまた溢れ出してきた。
翌日僕はペット用の葬儀を行ってくれる業者にお願いして、白い猫をペット用の火葬をしてペット用の骨壺に骨をおさめた。
ゆくゆくは、ペット用のお墓に納骨したいと考えていた。
その夜僕は骨壺を持って、千夜さんと初めて一緒に行った世田谷の用賀にある砧公園に車で向かった。
公園に到着すると初めて千夜さんと公園に来た時と同じように、広い芝生の星がよく見えそうな場所に家から持ってきたシートをひいて、そこに僕は腰をおろして隣に骨壺を置いた。
そこで空を見上げると、この日は雲1つない晴天で、空には星がきれいに輝いていた。
僕は千夜さんと楽しい時間を過ごすことができたこと、また、僕の命を救ってくれたことを千夜さんに心から感謝した。
僕は空を見上げて星を見ながら心の中で千夜さんに話しかけた。
(千夜さん、本当にありがとう!)
すると多くの星がきれいに輝きながら降り注いできた。
それはまるで、千夜さんの死を悲しむかのような光景だった。
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