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「なんて綺麗なお月様。」
「いつの間にか、暗くなったね。」
空を見上げる二人の間に、束の間の静寂が流れた。
「ねぇ、リッキー…
もしかして、後悔してる?」
「後悔?まさか。
君は後悔してるのかい?」
「いいえ。
ただ、父さんや母さんは怒る…いえ、悲しむでしょうね。
それだけは、申し訳なく思ってるわ。」
「……そうだね。」
二人の間に、再び静けさが戻った。
遠い山の中の村から、二人が故郷にたどり着いたのは、ほんの数時間前のことだった。
「ねぇ、まだここにいる?
それとも、やっぱり村に行ってみる?」
「サーシャ…君は怖くないのかい?」
「……怖いに決まってるじゃない。
でも、私はやっぱりここに戻りたかった。
だって、私はミランダたちみたいな小さな子供じゃないんですもの。」
「だけど、僕達には何も出来ない。」
「そんなこと、わかってるわ!
でも、あなた、言ったじゃない!
それでも、帰りたいって!」
サーシャの感情的な声に、リッキーは顔を強ばらせた。
「済まない。
今頃になって、僕…怖くなったんだ。」
「だから…怖いのは私も一緒だって言ったでしょ。」
そう言って、サーシャはリッキーの方に手を伸ばし、彼の手を握り締めた。
リッキーもその手に力を込めた。
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