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だから重たくならないかたちで、負担にならないように、――辛いそぶりなんて全然見せずに、待つ。
いつか自分を振り返ってくれるのを。
健気な存在に気づいてくれるのを。
本当に大切なのは誰かを、思い出してくれるのを。
母は、知らなかった。だから父の元へ行くと決断した。
だから自分も、――待っていれば。
酷な結論を相手に言わせず自ら去ったのも、考えのうちのひとつだった。
将来のことで頭がいっぱいな彼の道に割って入らないように。妨げないように。
ところが――
彼の前をちらつき、呪縛する存在。
加えて、蒔田一臣と常に居る。
誰の苦しみも知らず分からず、笑ってすらいる。
消えてくれればいいのに。
この感情をいったい吉田知津子はどう処理したらよいのか分からない。
学校の先生もお母さんでもそんなことは教えてくれなかった。
誰かが憎く思えた場合どうすればいいのか――
宮沢紗優のような、道行く誰もが振り返る美人ならば、許せた。
小澤茉莉奈のように、小人を従える威圧感なり発言力を持つ人間なら、納得が行った。
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