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母の愛情をこちらの孤独に苦しみを素知らぬ顔で独占し続けた姉と。
不服を言えば「知津子は元気なんだから我慢しなさい」――普通なら姉が「お姉ちゃんだから我慢しなさい」と言われるものなのに。だから、吉田知津子は我慢をした。あたしのことをかまってと駄々を言えば母に煙たがられる。嫌な顔をされる。そして言いすぎて「静かになさい!」と怒られ悪者になるのだ。――我慢しているのはわたしのほうなのに。
(卑怯だ)
姉は妹が寂しい思いをしてきたことなど分かっちゃいない。「お母さんお姉ちゃんのこと構ってばっかりだったもんね」と言われても「あそうだっけ」と知らない様相だった。
無自覚なのだ、奪う者はいつだって。
無意識なのだ、与える者はいつだって。
その考えがちらついたときに払いのけようと努力はした。
だが過去の彼の言動を総合して考えれば――答えを弾き出すのは容易かった。
誰も教えてくれなかった問題の解決法も自然と編み出せるものだった。
こうやって人間は『学習』をする。
「えーなに。蒔田くん都倉さんに、って、まぁじ? ショックぅ」
「やだやだー信じたくなぁい、もー」
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