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ease this impatience
(もちっと食べてくるべきだったな……)
後悔先に立たず。
いままた一人抜かれた。――陸部じゃないやつに。ピーク時であればあんなやつ追い抜き返してやるってのに。
足が泥のように重い。
腕が普段ほどに動かない。
風をいつもほどに感じられず気持ち悪く、
泥んなかを走ってるみたいだ。
それはいまという人生の状況に、似ている。
(ああくそ)
基本的に桜井和貴はスロースターターだ。長距離に憧れ続けたが長距離の選手にはなれなかった。同級生の一人にすら勝てなかったのだ、ならば市内市外の誰にも勝てるはずがない。持て余す情熱の消化手段を桜井和貴は知らなかった。性行為では解消に至らなかった。虚しさが残るだけだった。だから、ひたむきに情熱の塊を内面に保ち続け、捨ててからも苦悶し続ける蒔田一臣の姿がある意味で羨ましくもあった。
僕は辞めてもあんな辛くなんなかったろう。
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