ease this impatience

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 笑える余裕があるだけまだマシだ。笑えなくなったらそれで最後だ。  * * *  この状態が、笑えない。  五十メートルダッシュを二十本やってもヘーキだった僕が。何千回何万回と走る抜けたこのグラウンドが蛇の道みたく長い。さっきからちっとも進んでる気がしない。白線のラインが見えにくい。こんな長くて広かったっけな、ああ……  喉が渇いた。頭んなかがカラッカラだ。砂漠みたい。砂漠通り越して薄暗い――気を抜けばブラックアウトしそうだ。  んなコンディションの悪い状態で走るってのがそもそも馬鹿だ。  ゴールしたときタスクのやつメダル掲げてきやがった。 「残念でしたね桜井くん。さあそのままグラウンドへどうぞ。吉田さんたちがお待ちかねですよ」  ――あの野郎。  あとでぶっ飛ばしてやる。  とそのまえにまずは十周だ。これ完走しないと拳を振るうこともできない。――その体力も残ってるかも問題だ。あいつ受け身強いからな。柔道でこの学校の誰にも負けたことが無いらしい。  頭を振る。――もう頭を振るのもしんどい。よく箱根駅伝でさあ、リタイア寸前のやつってふらっふらしてんじゃん、あの幻影と自分が重なる。
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