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桜井は苦手。
つーか嫌いや。
中学ん時女に手ぇ出しまくっとったし。
緑高からかなり離れたあたしの中学でも、あいつに骨抜きにされた女子が仰山おった。
ホンマ最低や。
クラスは一緒でも、なるべく関わらんようにしとる。
やから、桜井があたしを待ち伏せしとったんは、えらいびっくりした。
いつ? って、桜井が運動場で啖呵切った日な。
五人で校門を出たら、壁に寄っかかった桜井がおって、「小澤さん、ちょっといい?」なんて言ってきた。
しゃあないから、「先に行っとって」ってみんなに伝えてんけど、理香なんか目をハートにさせとって。
アホやわ理香は。
嫌いな相手も無視出来んのがあたしの良いとこ。
「小澤さんは弟がいるんだよね」
桜井は壁に寄っかかったまま喋りだした。
「おるよ。弘樹と勇樹。中一で生意気なんよ」
「でも、可愛がってるんだよね」
桜井って、あたしと背ぇあんま変わらんのやけど、顔がすんごい小さい。んで女の子みたいな顔しとる。
「まぁな。お父さんもお母さんも忙しいから、姉やけど半分親代わりなとこあるな」
「そっか」
ニコニコしとったんに、一瞬寂しげな表情を見せる。
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