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#02 taste your pain, and seek the hided truth
身長差がキスの妨げになるなんて一般には言われるが、そんなのは嘘だった。屈めば全然、可能だった。
気持ちさえあれば飛び越えられる障壁だ。
清水の舞台を飛び降りるよりもイージーな。
事実、あいつは、越えた。
僕は、一連を見終えたとき――
ひっぱたかれ取り残された人間の哀れを目撃したにも関わらず、
ハッピーエンドが読めた。
主役は、彼ら二人だ。恋愛ものに必ず見られる気を持たす展開の只中で僕は、主役たちの恋を妨げ、最終的には花を添える、ピエロでしかない。
照れくささからああいう行動に出ているんだ。
だってあの子がマキを好きだなんてのはとっくに――解っていただろう?
本音で。理性の及ばない部分で本当は勘づいていた。
なのに僕は、見て見ぬ振りを、続けていた。
自分にとって都合がいいからだ。
邪魔なのは、僕だった。
僕が、彼を想う彼女を、この腕に抱きしめた。一度ならず二度も。
気を持たせる、行動に出た。
電話をした。約束したという恩恵にあやかり。受話器越しに聞くあのか細い声から一時間、離れなかった。最後には、声が聞きたかった、とストレートに告白した。
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