#01 I am a guilty man

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 電話口でそう手短に述べたマキは、現在、煙草をくゆらせるポーズを変えず、僕が移動するのを待ち構えている。  僕は風上を選ぶ。煙草の煙はそこそこ苦手だ。  肺を汚すだけのアイテムによくもこう執着できるものだ。  僕には皆目理解できない。  僕に一瞥をくれ、くわえたまま口の端を引き締める。人を見るときに睨むクセがある。睨んでるように見えるだけの話かもしれないが。  初対面だったらなんかいつも不機嫌なひとだと思うことだろう。  風は地上一階よりか強く、うら明るい空に白煙が溶けていく。  雲に馴染みそうな綺麗な流れだ。  久しぶりに走りこんでみたいなあ、……そんな欲望にからだが疼いた。 「おい……」二度目の目線をくれ、マキは何故だか皮肉げに口許をゆがめた。「……いっぺん死んできたような顔をしてんぞ。どうした」 「マキこそくまがひどいね。寝不足?」 「気分は上々だ」  ねじ込んでまだ半分は残ってる煙草の火を消す。  勿体無いなあと思った。  躊躇わないのがマキという人間の性格だった。
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