#01 I am a guilty man

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 何故、この場所に呼び出したのか。でなければならなかった、理由をだ。  わかりすぎて骨がしびれちまうほどだった。 「そこの、……上から眺めていただろう。俺は事後に気づいた」  この屋上の出入口は一箇所のみ。百人乗っても大丈夫な物置よりか心持ち大きな立方体の箱を平面に乗っけたみたいな構造をしている。マキが無表情に視線を流すのは、ついているハシゴで上に上れ、四方が柵でいい具合に囲まれた、隠れ覗き見スポットだった。覗くっつーかそこでいちゃつく用途もあるんだが。  学祭の二日目に、僕は他校の女の子に追っかけられ逃げ込んだ。……気がついたら眠っていて、次に気がついたときには、  キスシーンをがっちり目撃していた。  その映像はいまも鮮烈に焼き付いている。消せない忌まわしい焼印のごとく。意識上に浮かびかかるそれを、僕は、ぐっと親指を握ることで抑え込んだ。「……うん。どうして聞き出したいのか、きみの意図を聞かせてくれる?」  背骨を汗が伝っていた。脇の下からもだ。 「知ってるか? あいつは、十四日にここを発つ。残り二日も無い。……後悔しねえのか」 「誰が。僕が?」
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