#01 I am a guilty man

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『せやけど病気なんて感じせんわ。わたしの家系は長生きする家系なげよ。うち九人兄妹なんがにみぃんな無事で生きておんの。戦争で徴兵されても帰って来れんおうちもたくさんあったんに、うちはみぃんな無事で帰ってきた。前山の家には綺麗な血が流れておる。……和貴くんが、お仕事始める頃には、こんな病院なんかで寝ておらんと、もっと、元気な姿、見したるわ』  それから間も無くして訃報を聞いた。  僕に電話してきた娘さんの話によると――  最後まで痛み止めを拒否した。モルヒネも打たず。抗がん剤で頭髪が抜け落ちても、……かつらもかぶらずに。  棺のなかで彼女の表情が、安らぎに満ちていたことが僕にとって救いだった。  僕は、自分の両親の死に顔を知らない。損傷が酷くてとても見れたもんじゃなかったそうだ。僕は見なかったことを後悔している、が、見ていても後悔しただろう。  じーちゃんはしばらくの間、夜、寝れなかった。便所で何度も吐いてた。ああいうときは女の人のほうがタフだ。ばーちゃんが甲斐甲斐しく世話している様子だったのは、知ってる。……ばーちゃんにも言えずじまいだったが。
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