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学校の鐘がなる。今日もやっと授業が終わった。
あれから美輪さんはメモに書いてあったご主人が残した口座のナンバーを使い、無事お金を手に入れたらしい。
全部終わってから知ったことだが、家のお金は金庫に入っていたお金以外はほとんど無いらしく、麗香ちゃんの転校の資金繰りのためにメモを探していたらしい。
お金持ちにも色々あるんだな。
私は下駄箱から靴を出して上履きと履き替える。
そういえば美輪さんからすごく高いどら焼きが送られてきたな。帰ったら食べよう。
「おーいブンコ」
いい気分で帰ろうとしてたのに、知っている声が私を呼び止める。
「なに?」
「今帰りか?」
見たらわかる質問だ。
「そうよ」
……そういえば、今回は北条も少しだけ役に立った気がする。
「そうだ北条、今日部活でしょ。終わったら家に来て。美味しいどら焼きが入ったから」
まあ、貢献には何かしら与えれるべきだものね。
「え、まじ? やったぁ! 絶っっ対行く!」
北条はすごく大げさに喜ぶ。
い、いきなりなんだ。そんなに好きだったのか、どら焼き。
「じゃ、そういうことで」
私はそのまま学校を後にして家に向かう。
空が赤く滲み始める。
湿気もあまり感じなくなり心地よく温かい――いや少し暑いくらいかもしれない。
いつもの十字路に差し掛かる。ランドセルを背負った麗香ちゃんが美輪さんと手をつないで商店街に向かっていた。
私はお辞儀をして家の方に進む。
もう梅雨は明けたようだ。
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