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冬の寒い日だったから。私はしきりにくしゃみをしていた。
「くしゅんっ。くしゅんっ。にゃ〜。くしゅんっ」
くしゃみの合間に、鳴いている。そんな感じだった。
「なんだこの猫?」
「わっ! 全然離れないね」
けれど私は、くしゃみなんか気にすることもなく、ひたすら男の子達の足元に纏わりついた。
飼い猫にしてとか、そんなアピールをした訳じゃない。ただ、私を一人にしないでと思っただけ。
「この猫、捨て猫だよね?」
「多分。……このままだと、寒くて死んじゃうよね」
後で知ったことだけど、二人の男の子は、従兄弟という関係のようだった。
「どうしよう」
背の高いほうが、たっちゃん。
「こっそり飼うことは、できないよね」
低い方が、みーちゃん。
この二人は互いを、そう呼んでいた。
住んでいる家もすぐ側で、大の仲良しなのだろう。
後から考えてみても、二人はしょっちゅう一緒にいた。
びゅうびゅうと、冬の冷たい風が吹き続けていた。
「くしゅん。にゃ~。くしゅん、くしゅん」
茶色くなった芝生の上で、私はひたすら男の子達の足元に纏わりついた。
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