わたしがBLを書いた理由

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 エブリスタを始めてしばらくの間は、作品を読むためだけにログインしていた。  そのうち自分も何か書いてみたいと思うようになり、手始めに、高校のとき書いた作品を手直しして載せた。しかしそれは、ほとんど人に読まれることがなかった。  どうせ書くならたくさんのひとに読まれたい、反応が欲しいという、欲が湧いた。もちろん、誰も見ていなくとも、誰にも評価されなくとも、文章を書くことは楽しい。ただ、誰にも期待されずに書き「続ける」ことは、そのときの自分には難しかった。  ほぼ同時期に書き始めたエッセイには、少しずつながら読者がついてきていて、ページコメントを見るのが楽しかった。見に来てくれるひとがいる、ということをモチベーションに、仕事が終わってから毎日更新をした。  自分が書きたいだけでなく、人に読まれる作品を書こうと決めて、まずランキングを意識した。ランキングの上の方に載ることができれば、人目につきやすく、閲覧数も増えるだろうと思った。そこで目をつけたのが、BLジャンルだった。  当時はまだ、BLジャンルの作品数はさほど多くなく、今よりずっと少ない閲覧数でランキング上位に載ることができた(あの頃は閲覧数のみでランキングがつけられていた)。  読者としての自分は雑食で、おもしろければジャンルには拘らない。BLも時々読んでいたし、きっと書けるだろうと思った。  読まれるために、分かりやすい設定をつけることにした。身体から始まる恋愛、で行こうと思った。借金と引き換えに身体の関係を持ち、すれ違いながらも結ばれるような。BLではそれなりによくある話だけれど、よくあるということは需要があるということだと信じて、簡単にプロットを立てた。  これは人によると思うが、わたしはしっかり最初から最後まで話を決めてから書くことができない。いつも何となくの流れだけ決めて書き始めている。途中で思うように行かなかったり、初めに考えていたのと違う方向に進むこともあるけれど、それが楽しい。(このときの作品も、当初はもっと過激な展開から入るつもりが、攻めの性格上それができなかった。)  そうしてわたしは、初のBL作品を書いた。「少年はライオンの夢を見るか」という作品で、幸いこの作品はたくさんのひとに読んでもらうことができた(現在は有料作品として公開している)。読者さんからリクエストをいただいてSSを書いたり、別のカップルでスピンオフを書いたりもした。あまりに楽しくて、数年後を描いた作品「王国」も公開した。  書くことと、読まれることの楽しさを知って、その後も数作のBL作品を書いた。それをきっかけに他のクリエイターさんとの繋がりもできて、コラボ作品を書いたこともあった。  今は育児もあって、なかなか思うように書けない日も多く、作品がランキングの上位に行くこともない。それでも、更新したら必ず読みに来てくださる方がいる。もしかしたらどこかで誰かの一日の楽しみになれているかもしれないという妄想で、ゆっくりでも、書くことはやめずにいる。
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