Synchronicity

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 まもると電話をしてから、すでに一週間が経過していた。  ソファで寝転がりながら、昔のことを回顧していた。インフォロイドを開発し、現在に至る何かきっかけがあったはずなんだが、すっかり忘れている。  そんな時、いきなりメッセージが届いた。りんねからだった。 「今、クライマーで成層圏を出るあたりを上昇中。なかなかの眺めよ。ニューヨークの夜景がきれい。まもるも一緒です」  よかった、無事にまもるも搭乗できたか。待てよ、メッセージ! あぁ、思い出した。 「了解、結合ゲートまで迎えに行くよ」 「それじゃゲートの専用ラウンジで待ち合わせしましょう。私、プラチナなんで使えますよ」  プラチナか、まあ営業はステータスが重要だからな、無理してる。 「マキナ、りんね達を後でターミナルまで迎えにいく。同行してくれ」 「はい、喜んで」  数時間後、ターミナルゲートにあるラウンジで関係者カードを見せて入室、彼らの到着を待つことにした。  以前はクライマーが中継ステーションまで上がってくるのに、三日ほどかかったものだが、今では一日くらいで到着だ。地球上のスタートゲートは赤道直下の孤島に建設された。今や、一大リゾート地と化したが、南洋ののんびりしたムードと宇宙への上昇というギャップ感が観光旅行者には堪らないものだろう。 「ハーイ、やっと着きました」  りんねから声がかかった。 「ちはー、なんか地球上とあんま変わらないですねー」  そう思っているのは、まもるだけだと思う。 「マキナちゃんも懐かしいねー、何年ぶりかな? 相変わらず、変わんないね。いくつになった?」 「17才です」  笑顔でニコリとするマキナ。 「あ、そっかー、そうだったね、永遠の17才」 「りんねさんは変わりましたね。特に腰回りが細くなってます」 「いいとこ見てるねー、人体センサーの調子いいんじゃない?」 「何か食事でもするか? ここの名物と言えば、エレベーターバーベキューだけど」  食材をクライマーに見立て、黒い金属棒に串刺ししたバーベキューだ。いつの時代もアイデアはアナログなものが人気がある。 「そうですねー、肉食いたいし、ここでしか体験できないものがいいんで、それお願いします」 「ここのバーベキューの面白いところは、パフォーマンスかな。食べる直前に火で炙ってくれるんだ。洒落が利いているだろ?」 「私はオゾンカクテルでいいよ、グラデーションがなかなか綺麗だからね。あ! つむぎさん、百寿でしたよね? これ誕生日祝いです。忘れもしない、4月1日、エイプリルフール。わかりやすいですからね」  この話も何回聞いたことか。
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