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「……なぜ?」
「データは未来に行けば行くほど、増加傾向を辿ります。その間、特に事象改善の情報は出てきていないのに、いきなりデータが途絶える。これはつまり、そもそもの発信先がなくなったと考えるのが、必然かと」
「マキナ、彼の言っていることが理解できる?」
意味不明なことを、急に言われたため、つい逃げてしまった。
マキナは首を傾げながら考えるしぐさの後、手をグーにしながら、力強く答えた。
「はい、わかります」
いや、そこは「ごめんなさい、よくわかりません」と答えてほしいところ。
「その件は協議会に報告済み?」
「さすがに話が飛びすぎなので、まずはつむぎさんに一報入れておこうと」
「なんでそんなに普通でいられる?」
「いや、なんとかなるんじゃないかと思って」
「で、どうしようと思っている?」
「うーん、どうしましょうか?」
「……」
「……」
「マキナ、どうしようか?」
マキナは首を傾げながら考えるしぐさの後、両手を合わせながら、答えた。
「ごめんなさい、よくわかりません」
テヘェと照れる仕草はかわいいが、役には立たないな。
まだまだ人間がやらなければならないことは、たくさんありすぎる。
「まあ、20年後だと私も生きていないだろうから、どうしようもないが……家族もあるしな」
「あ、それがまた厄介なことになっているんですよ」
「どういうこと?」
「最後の未来ログが……」「あなたの死亡情報なんです」
「え? 俺そんな歳まで生きるの?」
俺になってしまった。つい、本音が出た。
「そこですか、いやこの原因になんらかの形で、あなたも関わっているのではないか? ということが言いたいんですけど」
「私が原因と言いたい?」
「そうではないですが、なぜそこでログが終わっているのか、調査する必要はあるかと思います」
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