第I章 Story of Genesis

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「事が事だけに、もう少し詳しい調査、情報収集したうえで、報告したほうがよさそうだな。まもる、悪いが上まで上がってきてくれないかな? りんねも呼んでほしい。緊急会議を開きたい」  りんねは会社を経営するもう一人の女性役員、三人の役員で会社は構成されている。 「構わないですけど、上に上がるの……会社経費ということでいいすよね?」 まもるが恐る恐る聞いてくる。 「今期の業績はかなりよくなることがわかっているから問題ないよ。監査役には、私から言っておくよ」 「わかりましたー! 俺、宇宙エレベーター乗るの、初めてなんですよ! 服装はなんかドレスコードとかあるんですか? スーツじゃないとダメですか?」 「いや私服で全然構わないよ。リゾート目的の観光客がほとんどだから」 「やった、一度ホライズンカジノに行ってみたかったんですよ」 「浮かれるのはいいけど、トレーニングビザ持ってる?あれないと、クライマーに搭乗できないから、気を付けてくれ。あと関係者クーポンないと割引き利かないからな」 「了解しました。トレーニングビザって、どのくらいで取れるんですか?」 「二日間の実地トレーニングで、すぐ取れるよ」  まもるはこういうことは意外とよくわかっていない。大丈夫だろうか? 「少し心配だから来るときは、りんねと一緒に来てくれる? あいつはたまに接待で利用してるから、慣れたものだ」 「了解しました。また連絡します。マキナちゃん、また」 「お電話が終了しました」  マキナが手を振りながら、笑っていた。  ふと思うところがあったので、以前からの課題解決について、マキナに聞いてみた。 「マキナ、インフォロイドの量子ビットネットワークへの接続検証はどうなっている?」 「順調です。問題なく接続できることは確認できていますが、TDSの影響は受けてしまいます」 「どんな影響だ?」 「通常のTDS影響度は未来データが高く、過去データが低いのに対して、過去データの影響度が異様に高くなっています」 「やっぱりな、思ったとおりだな……」 「どういうこと?」 「詳しくはもう少しよく考えてから、会議で話そう」 「深層思考ですね?」 「そう、マキナのディープシンキングみたいなこと。疲れたので、また寝かせてもらうよ」 「おやすみなさい。良い夢を」 「おやすみ」
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