星降る夜、星打つ夜。

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やがて少女は私達の方を振り向いた。 とびきりの美人だ。 制服みたいな格好をしてるけれど、あまり見たことがない学校のようだ。 この少女も、ナンパ男と同じように、アジア系ではない顔立ちをしていた。 夜風になびく長い髪は、なんとも形容しがたい色をしている。 私は少女に思わず見とれてしまったが、 彼女はまったく表情を変えずに私を見据えてくる。 その目力といったら、この世のものとは思えないほどだ。 すると、少女の視線がするりと私の背後に逸れた。 そして、その綺麗な顔の眉間に、皺が走る。 もしかして二人は知り合いなのだろうか? それも、互いに、この偶然の出会いを疎ましく思うような… でも、どう見たってナンパ男は大人で、この少女は高校生、へたしたら中学生かもしれない。 そんな二人が、こうもあからさまに嫌悪を表すような関係って…… 考えられるのは、親戚関係くらいだろうか。 私が二人のことを勘繰っていると、ナンパ男がやれやれ、という調子で口を開いた。 「まさかこんなところで会うなんてね」 男は若干嫌悪の空気を減らした言い方をしたが、少女の方は少しも変わらず、なんなら不快感を増したように男を一瞥した。 そしてプイッと私達から顔を背けると、 「一つ言っておく。邪魔だけはするな」 そう告げて、傍らの大型天体望遠鏡のようなものを覗き込んだ。 その口調は、嫌になるくらい凛々しくて、失恋や仕事の失敗で自分に自信をなくしていた今の私には、とてつもなく刺さってしまった。 だから思わず、 「ここで何してるの?」 まるで彼女を引き止めるように、そう問いかけていたのだった。
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