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晩餐会が終わり、ユフィネは帰宅するエドキエルの後を犬のように付き従った。 声をかけられずとも、付いて行かなければ何を言われるかわからない。 それがわかっている彼女は、ただ大人しくエドキエルを追った。 屋敷に帰っても、エドキエルの仕打ちは変わらない。 馬車から降りるユフィネに手を貸さず、さっさと降りるエドキエル。 自分は居間で寛ぎながら、みすぼらしい女だとユフィネへ悪態をつき、立たせたまま今日の出来事をまた責める。 執事もメイドもこんなことには慣れている。 最初はこれを宥めようとする者もいたが、それはユフィネに止められた。 『私のせいで、あなたたちの業務に支障が出てはいけません。どうか、いらぬことを旦那様に言わないように、ね?』 そう言われてしまえば、もう、誰も何も言えなかった。 使用人達はユフィネの懐の深さに感じ入りながらも『見て見ぬふり』という特技を習得したのだ。 しかし、使用人達には一つだけ不思議に思っていることがあった。 ラブグッド公爵夫妻は関係であっても、寝室は一緒であったのだ。
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