1章3節 絶望はまだ早く、

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 図書館の二階に上がると目的の場所に到着した。  市立図書館だけあってか物凄い数の新聞が蔵書されている。 「……こんなにあるのか」  ある程度覚悟はしていたけど流石の量に思わずひいてしまう。  何処から手を付ければいいか全く分からない。しょうがないので適当な所から抜き取った。 「さてと……探すか」  何枚か持ってきた新聞を机に投げる。  新聞といってもいくつか種類がある。同じ種類の新聞でも出版元が違えば内容は変わる。大きな記事はどれも似たり寄ったりだけど小さい記事は千差万別。はっきり言ってこの中から目当ての情報を見つけるのは至難の業だろう。  気合を入れる意味も込めてぐっと天井に向かって背筋を伸ばす。幸い時間は十分にある。何かしらは見つかるだろう。 「取りあえずこれから調べてみよう」  一番上に置いてあった新聞を掴む。  何々……『関西で大規模の雷雨、世界の滅亡の危機』……これは違う。次のページは……『巷の噂! 空にUFOが⁉︎』……ってそんな訳あるか! 「何だこの新聞」  訝しげに表紙を見ると『日本不思議現象新聞』と書いてあった。 「こんなのに載っているはずがないだろ!」  つい感情的になってしまった。……周りの視線が辛い。  周囲に向かって会釈をし、背もたれに寄りかかる。 「ハァ……頑張るか」  幸先が悪い。こんな調子で本当に見つかるのだろうか。  
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