満員の電車の中で。{突然すいません} サラリーマンおじさん

1/1
前へ
/426ページ
次へ

満員の電車の中で。{突然すいません} サラリーマンおじさん

なぜなのか、分からない。 最近、毎日が不安で仕方がない。   でも、何が不安なのか?自分でもよく分からない。 給料は毎月、いつもと同額は振り込まれる。残業がない代わりに増えもしないが…。 会社の同僚とは、それなりに付き合い、妻と2人の子供ともうまくやっているつもりだ。 定年まではあと、10年余りある。  最近、電車に乗るのが辛い、特に定年後の会社員を見るのが…。  何十年も同じ電車に乗っていると彼らの年齢や会社での地位などのディテールはなんとなく分かる。    通勤のピーク時の電車に乗らなくてもよいのに、彼らはわざわざ、ぎゅうぎ ゅうの車両に乗って来る。  この電車での苦行が四十数年の会社員人生の証しであるかのように。    でも、なぜこんな過酷な通勤の環境をこの国は放っておくのだろう。    日本人は我慢強すぎだろう!と私はいまさらながら思う。  働き方改革とは、まず、この通勤の環境の解決だろう。  なぜ、野党もこれを言わんのだろう?  よそう。もう、 政治について考えるのは。  この国には良いこともたくさんあるのだから。  もう、この電車の揺れに、わたしの足腰は最新の住宅の耐震基準のように進化している。  ただ、春先は注意が必要だ。 新人の運転士が鉄道会社に入って来ているからだ。乗り鉄の友人に聞いた話しだが、電車にも癖が有り、運転理論どおりにはいかないらしい。まあ、これはどの世界でも同じだ。  だが、この日の運転士はひどかった。  快速の停車駅で5メートルくらいオーバーランすると、次の停車駅では急ブレーキを踏み、乗客は雪崩を打ったように前方に押し出された。  軽い悲鳴が聞こえる。車両の連結部にいた乗客だろう。  気づくと私は右眼に違和感を感じた。少しぼやけて見える。軽く手で右眼を押さえてみるとべったりした感触がした。  左目を開けて見ると右手に赤く血のりがついていた。   私の前にいた、カッチリしたスーツを着た女性がアァ、うーと声にならない声をあげ、わたしの眼を指差していた。わっわっ、わたしのピアス❗️  
/426ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加