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テニスおじさん🎾河原にて
初級クラス初日のあの悪夢のレッスンから何日か経った、休日のある日。
私は朝早くからひとり、多摩川の河川敷に立っていた。
川沿いの狭い産業道路を降りてすぐに、草野球のグラウンドがある。
その野球場の低いフェンスの東隣りは大橋の下まで、広い空き地になっている。以前、ここも野球のグランドだったのか、手入れされていない芝生が自生している。
日頃はほとんど人もおらず、橋の欄干の真下で、トランペットを吹く人や、劇団員なのか、大声でセリフを叫び人がいるくらくらいだ。
わたしはこのスペースを自分のテニスコートにしようと思ったのである。( もちろん、その日、その時だけのシンデレラコートだ)
わたしは、Amazonで取り寄せた数々のアイテムが入った、錦織と同じ型のウィルソンの遠征バックを地面に降ろした。
あさ6時なのに、風がなく、暑い日だった。
わたしはまず、キャンプで使うペグを8本取り出し、テニスコートの長方形の短い辺の横を創る。横巾は10.97メートルと決まってるらしい。
シムロンRという巻尺で正確に測りハンマーで決める。
こんどは長辺の縦にペグをハンマーで打つ。
長い方は23.77メートルだ。さすがはイギリスのスポーツだ。企画が細かい。もちろんインチ換算なのだろうが…。
サービスラインの位置も企画通り打つと、8本のペグは完成した。このペグに芝生の緑の補色に当たる、濃い黄色のビニールのひもを通すと、少しテニスコートらしくなった。
仕上げに今回の買い物で1番高かった、テニスネットをセットした。
ビックリするほど本物らしくなった。
ネットは実際のコートの横巾の半分ほどしかないが、まあ仕方ない。約1時間半かかった。やるぞ、何だか分からないが、ファイトが湧いてきた。
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