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ランサの中央にそびえる外壁の真っ白だった城が、今まさに漆黒に塗り替えられている最中である。
この城はもともと千年以上前に起こった紛争のために要塞として建てられた、いわゆる城塞である。紛争が終わりほどなくして、王が住みやすくなるようにと、数千人もの民が自主的に薄汚れた城壁を白く塗り直し、窓やベランダを取り付けた。それは民の王に対する敬意を表するとともに、王が民のためにしっかりと仕事をするよう監視するためでもあったのかもしれない。
ところで、多くの民が頑なに改築を拒んだ部分がある。それは城壁に多数ある小さな穴である。
敵軍にやられたのでもなければ、虫に食われたわけでもない。この穴は城塞の内側から矢を射て、銃を撃つために故意に作られたものである。
民はこの紛争を忘れないため、同じ過ちを繰り返さないため、多くの者の命を奪うのに貢献したこの穴を塞ぐことを憚ったのだ。
しかし、魔族が王になってしまった今、人族、エルフ、小人族はこの穴を塞ぐことを希望した。
ルシヴィルが王になって一度目の演説を終えたその夜から、昼夜を問わず弓矢と銃の訓練が始まった。毎日二、三人の善良な民が流れ弾という口実を掲げた魔族やダークエルフに標的にされている。
ある日、ルシヴィルの演説中に啖呵を切った人族の少年が、北西の森で木刀の訓練に身を入れているということがルシヴィルの耳にも届いた。
その翌日、緊急に演説を執り行う。
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