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 傍目(はため)から見ればランサは以前と変わらない、平和な惑星であろう。  大人たちは仲の良い者同士で集まり談笑したり、スポーツを楽しむ。  子どもたちは仲良くイタズラをして大人に叱られ、反省しているふりをして舌を出す。そしてまた同じことを繰り返す。  ケンカする者もいないわけではないがそれは少数で、ほとんどが平和に過ごしている――ように見える。  実際、以前と変わらず平和だと感じている民も多い。しかし、ルシヴィルが王となってからの平和は見せかけであるといえるだろう。  そしてこれから少しずつ、この平和の幻想は打ち砕かれていき、見たくはない現実が姿を現す。  ルシヴィルの緊急演説から三日後のことである。 「弓矢と銃の練習は順調か?」  城の中の、百人ほどのパーティーが開けそうな大きな部屋。キングサイズの黒いベッドに、黒い服ばかりが入ったクローゼット、チェス盤が載ってある小さめのテーブルに二脚の椅子。この部屋が、ルシヴィルの部屋である。防犯上の都合によりこの部屋には窓はなく、複数のロウソクの灯りが一層不気味な雰囲気をかもし出す。  ルシヴィルとその護衛で一番剛腕なシュタルクが、チェスをしながら怪しい会話をしている。 「はい、順調でございます。魔族やダークエルフは他種族と比べると器用で頭の良い種族ゆえ、みるみる上達しております」
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