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「それはいい。だが、自惚れるでない。七種族の中で一番器用なのは小人族で、一番頭が良いのは竜人族だ。現実を正しく見られん奴はいつか足をすくわれるぞ」 「失礼致しました」 「シュタルク、君は魔族の中でも力が強く、頭が切れる。ランサを魔族中心の惑星にするためには、必要不可欠な存在だ。頼りにしているぞ」  ルシヴィルがあごを引き、上目遣いに不敵な笑みを浮かべ、(ナイト)を動かしたとき、シュタルクから――うぅ、という苦い声が漏れた。 「激励のお言葉、感謝致します」 「で、あの憎き少年、ムートは捕らえられたのか」 「ムートの居場所は残念ながらまだわかっていないのですが、ムートの両親の居場所は突き止めました。どうやら一年ほど前から宇宙旅行へ行っているらしく、あとひと月ほどでランサに帰ってくるとのことです」  今日は勝てそうにないな、とシュタルクはチェスの勝負を半ば放棄しているが、それを悟られないように努めた。 「私が捜しているのはムートだ。両親は関係ない」 「はい、承知しております。ですので、両親をつかってムートをおびき出すというのはいかがでしょうか」 「ほう、それは面白そうだな」 ――フッフッフッフッ、と低い声で不敵に笑った。 「ではまた詳細が決まりましたらすぐにお知らせ致します」 「ああ、楽しみにしているよ」  会話が終わったあともルシヴィルは不敵に笑っている。二人は三分の一のロウソクの灯りが消えるまでチェスを続けた。
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