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 訳がわからぬといった表情をしたムートに、いつも通りの早口で説明する。 「もし、ムートと共に『神の小指』へ向かってほしければ、父ちゃんは俺のことを話して一緒に向かうように言ったはずだし、『神の小指』へはムートだけで向かってほしい場合も、そう言ったはずなんだよ。何も言わなかったってことは、つまり――」  腰に手を当て、仰ぎ、言う。 「俺と出会わなければムートは一人で『神の小指』へ向かうだろう。俺と出会えば二人で向かうだろう。どちらになるかは神のみぞ知るってやつさ。だから、な。付いていくぞ」  ムートにはおよそ理解できない理屈であったが、ネットは竜人族であり、何よりもジイの子である。自分よりもジイの気持ちを推し量ることができるはずだと、共に行くことを渋々許可した――許可せずともおそらく付いてきただろうが――
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