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 ランサに生命が居住するようになってから、つい四日前までは人族だけが王の仕事を担ってきた。 しかしこの法律により、次は魔族が王座につくこととなった。  これに異議を唱えたのが、前王(デビュー)の孫、ムートである。若い、というよりもまだ幼さが残っている。四日前、つまり祖父の亡くなった日が十三歳の誕生日だった。  現王となった魔族ルシヴィルが城のバルコニーから王となった最初の演説をしている最中、すべての種族をかき分け、半ば無理やりに民衆の前に立った。現王を一度見上げ、そして民衆を見回しながら声高に言った。 「僕は魔族が王位継承することは反対である。『究極平等法』には欠陥があり、真の平等とはほど遠い。平等とは言えぬ法を平等であると錯覚し、それを強行するのはやはりこれは暴力である」  少しの沈黙のあと、それを破ったのは現王の高らかな嘲笑であった。 「面白いことを言うな。自らの祖父が制定した法を間違いだなどと。よかろう、ならば聞いてやろう。いったいどんな欠陥があるというのか」 「王になる者がそんなことも考えられぬとは、やはり向いていないようだな」  ムートは少しも恐れることなく、言葉を続ける。 「まず、我々人族は百年生きる者などそう多くはない。しかし、他種族はみな三百年生きる者も珍しくはないではないか。人族の王の期間だけが短い。これでは平等とは言えぬ。それに――」
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