ある雨の日

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 田口洋二は某企業に勤めるサラリーマンだ。その日は午後から雨が降り、夕方には本降りになった。 「すごい雨だな」  傘をさして、一言つぶやく。 「歩いて帰るのはきついな」  そう思って、近くのバス停に向かうと、中に一人の女の子がいた。  バス停に行ってみると、その女の子はずぶ濡れだった。濡れたスカートを絞っていたが、服が透けていて、黒いブラが見えていた。 70eb5dbb-3f02-4ebc-a13a-8542d835d557 (結構、胸あるな)  その女の子を見て、つばを飲み込んでしまう。 (そのままにできないよな)  そう思って、声をかける。 「どうしたの?」 「あっ。バスを待ってるの」 「濡れてるから、座るのは無理だよね」 「どうしたらいいの?」 「うちに来る? お風呂で温まったほうがいいでしょ。服も乾かせるし」 「でも……」  渋っている女の子を家に誘う。 「私、池沢ちづる」  女の子は恥ずかしそうに、名前を言った。
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