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プロローグ
日向陽介と観月蛍。
都会の喧騒からは少し外れた、海に面した長閑な町で、二人は育った。
同じ町で、同じ年に生まれた二人の家は、隣同士。
幼稚園も、小・中学校も、それから高校も同じ。
毎日お互いの家を行き来して、同じ時期に買ったお揃いの自転車で、いつも並んで遊びに出掛けた。
陽介の日々には蛍が。
蛍の日々には陽介が。
思い返せば記憶のどこにだって、お互いが居る。
物心ついた時から、当たり前のように隣に並んで過ごしてきた二人の時間も、気付けばもう十七年。
陽介と蛍は、この春高校三年生になった。
重なり合った偶然という小さな奇跡も、身に馴染めば日常になる。
これは、何気ない日常を共にしてきた二人の、幼く真っ新な恋の話───
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