顔も名前も知らないともだち

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 御幸学園以外にも私立のオンライン校は増えている。  こうした形態の学校を選ぶ学生は学校に馴染めない気質の子がほとんどだと思い込んでいたユカリだが、病気や障害などで通学しづらい子にとってもリアルの学校よりいいのかもしれないと気づいた。  小学校は普通の学校に通っていた。いじめられっ子でも落ちこぼれでもなかったのに、四年生くらいから学校が嫌で嫌でしかたなくなった。何がどう、とは自分でもわからず、ただ漠然と嫌だった。  休日は家でゲームをしたり家族と出かけたりするのが楽しかったけれど、日曜日の夕方は毎度憂鬱な気分になった。  夏休みや冬休みの最終日はこの世の終わりみたいな気持ちになって、明日なんてこなければいいのに、眠ったらそのまま目覚めませんようにと祈った。
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