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向かいに住む亜子ちゃんが僕の部屋に来たのは4年ぶりだ。
一つ年上だけど僕より一日遅い誕生日だったから同じ日に一緒にしていたお祝いも、亜子ちゃんが高校に行って大勢出来た友達がお呼ばれする様になって別々になって、それ以来行きにくくて行かなかったけど、亜子ちゃんの方は今年もこうして来てくれた。
いつもは階下でお祝いしてそのまま帰っちゃうんだけど今日は久し振りに部屋が見たいとやって来たんだ。
姉弟みたいに育った間柄だから父さんも母さんも全く気にしない。家が向かいだから夜遅くなってもどこ吹く風だ。
「変わってないなぁこの部屋。なのになんか不思議、聡ちゃんが今日で二十歳になったとはね」
亜子ちゃんは言いながら部屋を見回した後小さなテーブルを挟んで僕の対面に座った。いつもの位置だ。それが日常だった頃を思い出し僕はとても切なくなった。
亜子ちゃんが高校に入った頃から減り始めて大学に行った後は今日が初めてだ。
ちょっとだけ化粧をする様になった亜子ちゃんを見ながら僕の心は過去に戻っていた。
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