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タイムリミット
しばらく走り続けると、目の前に5人の男性が現れた。
全員が大柄で、目付き鋭い。
でも、私は恐れるという感情をあいにく持ち合わせていない。
そのため、ずんと思い切り前に出て啖呵を切った。
「あなた方が、優里を苦しめている犯人ですか?」
「何だ、お前。あいつの知り合いか?あいつはどこにいる。お前も巻き込まれたいか?あいつの仲間っていうならただじゃ済まないぜ。」
いきなりマシンガンのような恐喝である。
それでも私は怯まない。
「優里があなた方に何をしたって言うんですか?」
「あいつは教授にごますって成績優秀を保っているだけだ。しかも俺らがちょっと悪いことをした時にあいつが教授にチクリやがったせいで、単位を落として卒業できなくなったわけ。内定もパーさ。」
「そうそう。だからお返しってわけで、悪い噂広めたり、いろいろやってやったわけ。」
「今日もその延長戦って感じかなー。」
「本当に良い気味だよ。」
聞いて呆れる。
私は怒りで熱くなり、壊れそうになっていた。
優里が近づいてくる音も聞こえてくる。
(ピーピー)
「ん?何の音だ?」
「こいつの方から聞こえるぞ。」
やばい、あと5分がタイムリミットだ。
私の正体はなるべく明かしたくない。
5分を過ぎれば、私の声は出なくなり、身体も自由には動かせなくなる。
…バッテリー切れだけは避けたい。
この5分で思い切り叫んでやろう。
そう決めて、ギリギリの体力で口を開いた。
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