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親友
「おはよう、優里。あれ、体調悪そうだけど大丈夫?」
「あ、真知。大丈夫だよ。ちょっと寝不足なだけ。」
夏休み明け、久しぶりに顔を合わせた親友は、今にも倒れそうである。
優里は、名前の通り、本当に誰にでも優しくて気遣いができる子だ。
出来すぎて、逆に心配になってしまう。
今日もそうだ。
顔色がとてつもなく悪い。絶対に何かあった時の顔だ。
高校の時からもうすぐ5年の付き合いになるが、優里の大丈夫は全く信用できない。
でも,単刀直入に言ってもサラリとかわされてしまうだけなので、じわじわと詰め寄ってみる。
「本当に?そしたら、お互いの授業が終わったら待ち合わせして、新しくできたカフェに行こう!良いでしょ?」
「はいはい、わかった。でも、私今日5限までだし、先生にレポート添削してもらう予定だから遅いよ?」
「私のことは気にしないで。じゃあ決定ね!」
どうにかして優里の話を聞ける時間を確保した私は、学部の違う優里と別れて自分の授業へと向かった。
でも、授業の後では遅かったのだと思い知ることになるのを、私はまだ知らなかった。
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