親友

1/1
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ

親友

「おはよう、優里(ゆうり)。あれ、体調悪そうだけど大丈夫?」 「あ、真知(まち)。大丈夫だよ。ちょっと寝不足なだけ。」 夏休み明け、久しぶりに顔を合わせた親友は、今にも倒れそうである。 優里は、名前の通り、本当に誰にでも優しくて気遣いができる子だ。 出来すぎて、逆に心配になってしまう。 今日もそうだ。 顔色がとてつもなく悪い。絶対に何かあった時の顔だ。 高校の時からもうすぐ5年の付き合いになるが、優里の大丈夫は全く信用できない。 でも,単刀直入に言ってもサラリとかわされてしまうだけなので、じわじわと詰め寄ってみる。 「本当に?そしたら、お互いの授業が終わったら待ち合わせして、新しくできたカフェに行こう!良いでしょ?」 「はいはい、わかった。でも、私今日5限までだし、先生にレポート添削してもらう予定だから遅いよ?」 「私のことは気にしないで。じゃあ決定ね!」 どうにかして優里の話を聞ける時間を確保した私は、学部の違う優里と別れて自分の授業へと向かった。 でも、授業の後では遅かったのだと思い知ることになるのを、私はまだ知らなかった。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!