救助

1/1
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ

救助

「優里!」 「…真知?」 声のした方に行くと、そこは木々が鬱蒼と茂った、大学の校舎の死角となる場所だった。 そして、そこには泣き腫らした顔で優里が座り込んでいた。 「何があったの?」 「…何でもないよ。」 「何でもなくないじゃん。こんなに目を真っ赤にして。」 すると、急に優里は立ち上がり、私の肩を力強く掴んで、静かにこう言った。 「逃げて。」 確かに、ダダダダっと威勢の良い足音がいくつか聞こえてくる。 これは危険かもしれない。 でも、私は優里を助けたい。 「優里、私が優里を守るから。」 そう一言残して、私は足音の方へ覚悟を決めて進んだ。 「真知!」 私は幸い足が速い。 優里が追いつかないくらい早いであろうスピードで、遠くに優里の声を聞いて走り抜けた。 大丈夫。まだ間に合う。 そう自分に言い聞かせて、絶対に優里を助けると誓い、さらに速度を上げた。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!