2人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
救助
「優里!」
「…真知?」
声のした方に行くと、そこは木々が鬱蒼と茂った、大学の校舎の死角となる場所だった。
そして、そこには泣き腫らした顔で優里が座り込んでいた。
「何があったの?」
「…何でもないよ。」
「何でもなくないじゃん。こんなに目を真っ赤にして。」
すると、急に優里は立ち上がり、私の肩を力強く掴んで、静かにこう言った。
「逃げて。」
確かに、ダダダダっと威勢の良い足音がいくつか聞こえてくる。
これは危険かもしれない。
でも、私は優里を助けたい。
「優里、私が優里を守るから。」
そう一言残して、私は足音の方へ覚悟を決めて進んだ。
「真知!」
私は幸い足が速い。
優里が追いつかないくらい早いであろうスピードで、遠くに優里の声を聞いて走り抜けた。
大丈夫。まだ間に合う。
そう自分に言い聞かせて、絶対に優里を助けると誓い、さらに速度を上げた。
最初のコメントを投稿しよう!