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少女は振り返りスッと脇に逸れる。
先程まで少女が立っていた場所に、明るい緑の髪を低い位置で二つ結びにした少女が勢い余って頭から倒れ込んだ。
「いったぁい」
「ユイ、気配ありすぎ」
感情の感じられない声で金髪の少女は緑の髪の子――ユイを桃色の目で見下ろし話し掛ける。
ユイと呼ばれた緑の髪の少女は頭をさすりながら顔を上げた。
髪と同じ色をした、キラキラ輝く瞳を金髪の少女に向ける。
「もぉ〜。なんで避けるのぉ?」
ユイは悲しそうに手に持った――怪しく光るナイフを弄ぶ。そして、手を滑らせ落とした。
「そりゃあ、避けるよ」
「本当にリキって冷たいよね」
金髪の少女――リキの言葉に、ユイはナイフを拾うために屈みながら不満そうにリキを見上げる。
リキはため息をついて、そばにある木に手をつき枝を見上げた。
「私は、知らずのうちに悪魔と契約していた。あなたにも何度も言った」
「だからぁ。私がそれを祓ってあげるって言ってるじゃん!」
ユイは意気込んでナイフを振りかざす。
だがリキに当たる事はない。突っ込んだユイは、リキに避けられ木に激突した。
木が揺れ、桃色の花弁が落ちてくる。
「……ドジ」
「うう〜」
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