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冷たく言うリキに、額をさすりながらユイは頬を膨らませる。
だがリキの目を見て目を丸くした。
刺されるような鋭い視線を投げかけられていたのだ。
「……つまり、私を殺すってことでしょ?」
ユイの表情の変化を見てリキは驚くほど冷たい声で言う。
そして、ふいっと顔を背けた。ユイはなにも言えずにその横顔を見つめる。
「私って言う、穢れた存在を消して、祓うんでしょ」
「違う! 私はただ……」
ユイはぶんぶんと首を振るが、リキは振り返らずに歩き出した。そして開けた長い道を歩いて行く。
残されたユイはギュッと口を結ぶ。
しっかりと、ナイフを握りながら。
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