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「…うっわ、懐かしいなあ」
思わず喉の奥から声が洩れてしまった。だだ洩れてきた本音。
私は笑みを必死に押し殺そうとしているけど、周りからはやっぱり御機嫌に見えるんだろうと思う。
私、星祭茉莉花は、このたび、白嶺女学園高校1年になる。
今日は、入学式の日だ。
そして私はというと、ピッカピカのセーラー服に身を包んで、校門の前に立っている訳である。桜舞う入学式。お天気にも恵まれたベッタベタな門出の日。
まさか、なぁ。
少し感慨深い気分にもなるものである。
―――また、この門をくぐれる日がくるなんて。
『あの日』から随分長いこと経ったけれど―――まさか、また、この高校の生徒になれるだなんて。
やりなおせるなんて。
結局私は『あの時』は卒業出来なかったのだけれど、今度は―――。
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