2/12
14人が本棚に入れています
本棚に追加
/72ページ
「…うっわ、懐かしいなあ」 思わず喉の奥から声が洩れてしまった。だだ洩れてきた本音。 私は笑みを必死に押し殺そうとしているけど、周りからはやっぱり御機嫌に見えるんだろうと思う。 私、星祭(ほしまつり)茉莉花(まりか)は、このたび、白嶺(はくれい)女学園高校1年になる。 今日は、入学式の日だ。 そして私はというと、ピッカピカのセーラー服に身を包んで、校門の前に立っている訳である。桜舞う入学式。お天気にも恵まれたベッタベタな門出の日。 まさか、なぁ。 少し感慨深い気分にもなるものである。 ―――また、この門をくぐれる日がくるなんて。 『あの日』から随分長いこと経ったけれど―――まさか、また、この高校の生徒になれるだなんて。 やりなおせるなんて。 結局私は『あの時』は卒業出来なかったのだけれど、今度は―――。
/72ページ

最初のコメントを投稿しよう!