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一生のお願い。
ベッドサイドのぼんやりした間接照明が、その秀麗な顔を照らしている。頬に影を落とす鼻梁を見て、彫りが深いな、と透瑠はまた思う。
もう慣れたはずなのに。いつも見惚れてしまう。見飽きるということがない。
すでに二人とも一糸纏わぬ姿で、壁に寄りかかった怜の脚の間に透瑠は膝立ちで向かいあっている。
自分でも不思議なたとえだと思うが、こうしていると、これから神聖な儀式を始めるような気がする。
「透瑠……」
すっと伸ばしてきた腕の筋肉の線を目で辿る。肩にかかる髪を後ろへ撫でつけられ、かすかに触れた指先に、肌がチリっと灼けるように痺れた。先ほどの濃厚な口づけで、すでに身体は熱さを増し、中心は快楽の兆しを見せている。
「……なに……」
「お願い、きいてくれる?」
キラキラした上目遣いで見つめられ、透瑠は先ほどまで感じていた荘厳な雰囲気がひといきに吹っ飛んだ。
「……一応、言うだけ言ってみて」
がっくりと肩を落として絞り出すように言うと、
「透瑠が自分でするとこ、見たい」
「はぁ!?」
なんでこいつはこう! すごいことをさらっと、無駄にいいカオで言ってくるんだ!!
「……ダメ?」
と、つぶらな瞳で首を傾げて眉を下げる。犬か! 犬なのか! おねだりポーズ上手すぎるだろ無駄に!
おねがい、とじーっと見つめられ、透瑠は羞恥心と庇護欲のはざまで葛藤した。
「……今日だけだぞ」
「わーい、やった〜」
言ってみるもんだねえ、とニコニコしながら腰をするっと撫でてくる。もうそれだけでゾクリと快感のゆらぎが立ち昇ってきて、膝が崩れそうになった。
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