一生のお願い。

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  *** 「――このバカ。お前が無理させたんだろ」 「だってさ〜。透瑠が可愛すぎるんだもん」 「だからって仕事に支障きたしてたらダメだろうがよ。相手に迷惑かけてどうする。後先ちゃんと考えろこのバカ」 「も〜バカバカ言わないでよっ。バカだけどっ」  厨房の入口で、真治と言い争う声が控室まで聞こえてくる。どうせならここまで聞こえないところで話してほしい。恥ずかしさに思わず顔を腕で覆う。  二つ折りにした座布団を枕代わりにして、畳に寝転んだまま、透瑠はため息をついた。  翌朝、結局ベッドから起き上がるのも苦痛で、オロオロしている怜に付き添われて出勤するハメになった。  ――土曜日でよかった。怜が休みの日で。  実際、立っているのもツラくて、マスターにも『大丈夫?』と心配されて、頬が熱くなった。  怜が理由を説明しようとしたので、ぎょっとして口を塞ごうとしたが、ちょうどそこに顔を見せた真治が透瑠の様子に気づき、凶悪な目つきで怜を睨みつけた。そして透瑠は『お前はちょっと休んどけ』と控室に連行された。 「だからこうして戦力になってるでしょっ」 「当たり前だバカ」 「も〜またバカって言った!」 「バカにバカって言って何が悪い」
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