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いつ来ても不思議な街並みだと思う。
リュミエールの辺りは石畳でヨーロッパの風景を思い起こさせるのに、少し歩くと昔懐かしい商店の軒先が並ぶ。和洋折衷、というのだろうか。
一見ごちゃごちゃして見えるのに、何故か全体が調和している。
何でもあり、みたいな雰囲気が、社会からはみ出した透瑠もなんとなく受け入れてくれる気がするのだ。だからこの街が好きなのかもしれない。
商店街を脇道にそれると、また雰囲気がガラリと変わる。
マスター曰く『何にもなかったんだけどね』とのことなのだが、低いながらもビルやマンションが何棟か建って、風景を変えてしまったそうだ。
その一角に、怜の職場がある。
社名が『三角デザイン事務所』なので三角が社長なのかと思っていたが、三角の双子の兄が社長なのだそうだ。
『もうそっくりなのよ。一回、並んでるところ見てほしいわ』
くくく、と沙雪が笑いながら言うのでそれはぜひ、と思うのだが、会社をいくつも経営しているらしく、デザイン事務所にはなかなか姿を現さない。
脇道でいったん立ち止まる。透瑠の家は商店街を真っ直ぐ抜けた先なので、こちらには用はない。だが、いつもここで立ち止まってしまう。
……朝だって会ったのに。
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