バベリバ・バリビ VS 右腕スーパーパンチャー

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 清水は、中二には見えないくらい大人っぽい見た目で、しかも切れ長の目と低い声と肩まで伸ばしたすげえキレイな黒髪のせいで、まわりからクールだってちょっと怖がられていた。  おれも最初はちょっと怖いなーと思ってたんだけど、ミヤオとの対戦をずっと清水には見られてて、そんでそのときの清水は、すごく楽しそうだった。  で、三戦目のとき。  そのとき考えた「デンゲキマン」の決めゼリフがなかなか決まらなくてウンウン唸ってたら、 「できないの?」  って、清水に言われた。 「うん。決めゼリフが」  って思わず言ったら、 「貸して」  って言って、清水がノートを奪った。  で、清水は腕を組んでちょっと考えてから、なにかを書いて、おれにノートを返してきた。  で、決めゼリフのところに、 『シビレたろ?』  って、書かれてた。  正直、マジでシビレた。  これなら、ミヤオの作った風使いの『ヒューイ・ヒューイ』におれの『デンゲキマン』が勝てるかもしれない。  そしてほんとうに、おれはミヤオに一勝した。  ミヤオが言うには「とにかく決めゼリフにシビレた」んだそうで、ほんとに清水のおかげだったんだけど。  で、そのお礼をしたのがきっかけで、清水とよくしゃべるようになった。  で、意外だったんだけど、清水は『三日月と金属バット』を読んでるみたいで、そのほかのマンガとかアニメにも詳しかった。で、ミヤオも一緒になって休み時間はよく三人でしゃべるようになった。  クールだと思ってたけど、ぜんぜんそんなことない。  で、そんな清水に親近感がわいた。  おれも、ガタイがよくてゴリラ顔っていう見た目のせいで、よくみんなから卓球部だってことイジられてたから。  べつにガタイがよくても卓球部でいいし、べつにクールな見た目でマンガが好きだっていいんだよ、ほんとは。
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