バベリバ・バリビ VS 右腕スーパーパンチャー

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 とかいろいろ思い出していて、ふと時計を見たら、授業終了まであと五分だった。  やべえ、決めゼリフ、ぜんぜん出てこねえ。  ってまた頭を抱えたら、  グーキュルルルルルー!  って、腹の鳴る大きな音が右から聞こえた。  みんながいっせいにうしろを向く。  っていうか、みんなおれを見てない?  おれは「濡れ衣です」って言いたかったけど、言えなかった。  たぶん、犯人は清水だから。  で、どうしようって思ってたら、 「また鳴ったな」  って、ミヤオが言ってきた。  で、気がついたら、おれは立ち上がってた。 「先生、腹が減りました!」  おれの言葉に、教室が笑いで揺れた。  東先生も笑いながら、 「まあ、育ち盛りだからねえ。それに藤田くん、卓球部だから朝練あるし、しょうがないよねえ」  って、言ってくれた。  東先生、ほんと優しいなあって思った。 「でも藤田、補欠ですよ!」  って、前のほうの席の、調子乗りの鈴木が言った。  で、また教室が笑いで揺れた。  ムカついて言い返そうとしたら、 「がんばってるから腹が減るんだよ!」  って、なんでかミヤオが言った。 「まあまあ、みんな頑張ってるよ。はい、再開再開」  って東先生が言って、教室がもとに戻った。
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