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おれも席に着いて、
「ありがとな」
って、ミヤオに言ったら、
「がんばれよ、補欠」
って、言われた。
ミヤオ、やっぱりなんだかんだ良いヤツなんだよな。
って思ってたら、授業終了まであと二分になっていた。
ヤバイ、決めゼリフ!
って焦ったけど、ぜんぜん出てこない。
そしたら、清水がいきなりノートを奪い取った。
一瞬のことでキョトンとしてたら、すぐに清水がノートを返してきた。
で、決めゼリフのところに、
『この借りはぜったいに返します』
って書かれていた。
それを読んで思わず吹き出して清水を見ると、顔を真っ赤にして前を見ていた。
やっぱ清水って、ぜんぜんクールキャラじゃないな。
って思ってたら、チャイムが鳴った。
さっそくミヤオが振り返って、
「できたか?」
って聞いてきた。
「うん」
って言って、ノートを渡す。
で、真剣に読んだミヤオが、
「なんだよ、この決めゼリフ。敬語じゃん。キャラと合ってねえよ」
って言った。
「まあ、キャラっていってもいろいろあるからな」
「なんだよ、それ。それにまたキャラの名前がダサイって。お前の負けな」
「うん。まあ、はい、分かった」
って言って、清水を見て、笑った。
清水も、ちょっと笑って、
「わたしはかっこいいと思うよ、右腕スーパーパンチャー」
って言って、こんどは大きく笑った。
清水がこんなに笑うのはじめて見たなって思って、おれもいっぱい笑った。
「キャラに合ってなくてもいいじゃん。右腕スーパーパンチャーは、じつはこういうヤツなんだよ」
って笑いながら言ったら、
「どういうことだよ。意味わかんねえ」
って、ミヤオも笑った。
これで一勝五敗だけど、まあ、べつにいいや。
今日の給食は大好きなカレーだし。
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