Time Limit

あと５分

「え、なにこれ」
「なにって何が？」
「テレビ。あと６分で核が飛んでくるって」
「カク？　カクってなに？」
「核だよ、核爆弾」
「はあ？　まさか」
「まさかだよなあ。俺の携帯鳴ってねえし」
「携帯？」
「なんか、鳴るんだろ？　こういう時。緊急地震なんじゃらみたいなの」
「あー、あった気がする。なんか、訓練とかじゃね？」
「訓練だったら訓練て言うだろ、たぶん。なんだっけ、"緊急時の放送のテストです"とかってよくやってんじゃん」
「じゃ、これマジ？」
「え、マジなん？」
「え、どうする？」
「どうするってもなあ……でもガチなヤツだったら、大学さぼってよかったな」
「なんで？」
「学校なんかで死にたくねえし」
「まあ、そうね。でも最期がおまえと一緒かよ。それもなんか萎えるわ」
「独りよりよくね？　とりあえず孤独死回避」
「つうか、マジどうするよ？」
「いや、どうする？」
「えー……」
「あと６分……あ、あと５分だって。１分経っちゃった」
「頑丈な建物って、このアパート頑丈？」
「築30年だけどどうだろ？」
「地下室ある？」
「ある訳ねえだろ」
「コンビニでも避難する？」
「助かる気しねえなあ。つうか、ほんとマジなん？」
「テレビずっとこれだな、マジかもな」
「他のチャンネルも？」
「ちょい待ち……うん、全部そうだね」
「うあー、マジかよ」
「どうする？」
「マジどうするよ？」